犬の胆嚢粘液嚢腫(胆嚢破裂、総胆管閉塞、胆泥症)

 胆嚢は肝臓で生成された胆汁を貯留・濃縮し、十二指腸へ排出する働きをしています。

 本来、胆汁は黄色くサラサラした消化液ですが、肝臓の異常やホルモン異常などが基礎疾患にあると胆汁がドロドロした胆泥となり、胆嚢粘膜が過形成を起こします。この結果、弾力性の強い粘液物質が過剰に貯まり、硬くなった状態を胆嚢粘液嚢腫といいます。

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犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

副腎は腎臓の近くにある小さな臓器で、生体内の恒常性を維持するために重要なホルモンをつくる役割をしています。

副腎は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、それぞれホルモンを分泌しています。アジソン病とはこの副腎皮質の機能が低下し、ホルモンが不足することによって様々な症状が起きる内分泌疾患です。

 

典型的なアジソン病では副腎皮質全体が委縮しコルチゾールとアルドステロンの両方が不足します。コルチゾールのみが不足する非定型アジソン病も知られています。

アジソン病の一般的な原因として自己免疫性の破壊と遺伝性疾患が知られていますが、明確な病因はわかっていません。 

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犬の血管肉腫(脾臓・肝臓の腫瘍、ショック)

血管肉腫は、血管内皮細胞に由来する腫瘍で、様々な臓器に発生します。最も脾臓に発生しやすく、次いで心臓、皮膚、肝臓などにも認められることがあります。進行速度が早く、転移率が非常に高いことで知られる悪性腫瘍です。

特に怖い点として、血液を豊富に含むため出血しやすく、腹腔内で大量出血してしまうと、ショック状態となり救急処置が必要になります

 

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猫の消化器型リンパ腫(胃腸管型、大細胞性、抗がん剤)

リンパ腫とは、免疫細胞の一つであるリンパ球が腫瘍化する疾患です。リンパ節や胸腺などのリンパ系組織の他、鼻腔内、消化管、脳神経、皮膚など全身のどこにでも発生する可能性があります。

以前は猫白血病ウイルスに関連してリンパ系組織に発生するケースが多くみられましたが、近年では消化器型リンパ腫が増加しています

今回は猫の消化器型リンパ腫の症状や診断、治療についてご紹介します。

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猫の尿道閉塞(尿が出ない、頻尿、血尿)

 寒い季節になると猫ちゃんは飲水量が減り、尿のトラブルが多くなります。頻尿や血尿を見かけたことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか?

特に、尿道が詰まり、尿が出にくくなる状態を尿道閉塞といいます。尿道閉塞が生じると頻尿や血尿だけでなく、尿がぽたぽた出る排尿時に辛そうに鳴くなどの症状がみられ、さらに進行すると、尿が出なくなり急性腎不全によって死に至ることもあります。

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フェレットの誤食(胃内異物、腸閉塞)

フェレットは犬や猫に比較して鳴き声がなく、お散歩の必要もないため飼いやすい動物として、近年ペットとして人気です。

一方で好奇心旺盛なため、色々な物を口にする習性があります。そのため、部屋に落ちている物を間違って食べてしまう事故で来院するケースが比較的多くみられます。

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内視鏡検査で診断された犬の慢性腸炎

ワンちゃんやネコちゃんと暮らしていると、嘔吐や下痢を見かけることは比較的多いと思います。

多くは一過性のもので、数日で改善しますが、治りにくい場合は深刻な病気が隠れていいるかもしれません。

また、胃腸の病気は血液検査やレントゲン、超音波などの一般的な検査では異常が見つかりにくいため、異常が見落とされがちです。

そこで、有効な検査が内視鏡検査です。

内視鏡検査は腸の粘膜を直接観察でき、組織の採取も可能なため確定診断が得られます。

 

 

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猫の肝リピドーシス

今回は肥満の猫ちゃんが罹りやすい病気のひとつ、肝リピドーシス(脂肪肝)の症例をご紹介します。

 

写真は嘔吐と食欲不振で他院を受診し、1週間程入院したが治らないとの事で当院を受診した10歳の雄猫ちゃんです。

来院時には黄疸(皮膚や目の粘膜が黄色く染まる)がみられ、食欲は全く無い状態でした。

 

 

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犬の甲状腺機能低下症と皮膚病

写真のわんちゃんは8歳の柴犬の男の子です。1年以上前からアトピーによる難治性の皮膚病と診断され、他院を受診していましたが、中々治らないとの事で当院を受診されました。

 

初診時、背中には痂皮を伴う大きな脱毛と色素沈着がみられ、お腹側にも同様の皮膚病変がみられました(下図)。

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