内視鏡検査で診断された犬の慢性腸炎

ワンちゃんやネコちゃんと暮らしていると、嘔吐や下痢を見かけることは比較的多いと思います。

多くは一過性のもので、数日で改善しますが、治りにくい場合は深刻な病気が隠れていいるかもしれません。

また、胃腸の病気は血液検査やレントゲン、超音波などの一般的な検査では異常が見つかりにくいため、異常が見落とされがちです。

そこで、有効な検査が内視鏡検査です。

内視鏡検査は腸の粘膜を直接観察でき、組織の採取も可能なため確定診断が得られます。

 

 

写真は内視鏡検査で観察される腸粘膜の様子です。写真(左)では粘膜の不整な隆起が観察できました。

写真(右)のようにバイオプシー鉗子を用いて、粘膜の一部を採取します。

肛門側から検査すると結腸や盲腸などが観察できます。

採取した粘膜はこのようにトレーに移し、病理組織検査をします。

この症例は半年以上も下痢を繰り返していたが中々治らないとのことで当院を受診しました。

検査の結果、慢性腸炎と診断されました。

炎症がひどくリンパ腫との鑑別が必要となりましたが、遺伝子検査の結果、幸い腫瘍は否定されました。

 

確定診断がついたことで、最適な治療法を選択することができ、現在は良好に維持できています。