当院での治療例

犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

副腎は腎臓の近くにある小さな臓器で、生体内の恒常性を維持するために重要なホルモンをつくる役割をしています。

副腎は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、それぞれホルモンを分泌しています。アジソン病とはこの副腎皮質の機能が低下し、ホルモンが不足することによって様々な症状が起きる内分泌疾患です。

 

典型的なアジソン病では副腎皮質全体が委縮しコルチゾールとアルドステロンの両方が不足します。コルチゾールのみが不足する非定型アジソン病も知られています。

アジソン病の一般的な原因として自己免疫性の破壊と遺伝性疾患が知られていますが、明確な病因はわかっていません。 

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猫の巨大結腸症(便秘)

 慢性的な便秘・排便障害が続くことにより、結腸(大腸)の運動性が低下し持続的に拡張してしまった病態を巨大結腸症といいます。

 症状は排便困難だけでなく、しぶり血便、食欲不振、嘔吐などがあります。重度になると腸内で有害なガスが発生し、それが腸管から吸収されると全身状態が悪化していきます。

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犬の口腔メラノーマ(悪性黒色腫)

口腔メラノーマ(悪性黒色腫)は、口腔内腫瘍のなかで発生頻度・悪性度ともに高い腫瘍です。進行が早く、発見された時にはリンパ節や肺に転移していることがあります。

発生部位としては歯肉が最も多く、舌や口唇などの皮膚粘膜移行部の粘膜面や軟口蓋にも発生します。

口からの出血や、よだれの増加、口臭の悪化で気づかれるケースが多いです。

メラノーマはメラノサイト由来の腫瘍のため、多くは腫瘍細胞にメラニン顆粒を含み、黒色あるいは褐色という特徴的な見た目でメラノーマを疑うことができますが(図の矢印)、この顆粒が乏しい場合(乏色素性メラノーマ)には口腔粘膜と同様の色をしており、見た目だけで判断することが難しいことがあります。

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犬のマラセチア性皮膚炎

 マラセチアとはカビの一種(真菌)で、健康な動物の皮膚や耳道などに常在しています。しかし、アレルギーなどが原因で皮膚に問題が生じるとマラセチアが異常に増殖して皮膚炎を起こすことがあります。また、マラセチア菌は『皮脂』を好むので、シーズーや柴犬など生まれつき皮脂の多い犬種で多くみられます。

また、湿度・温度の高い環境で増殖しやすいため梅雨~夏の時期にかけて発症が多くみられます。同じ理由から、身体の擦れやすかったり、ムレやすい場所(指の間、耳、首、わきの下、お腹や肛門まわりなど)で増えやすいです。

マラセチア菌へのアレルギー反応として皮膚炎が生じることもあると言われています。

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犬の会陰ヘルニア(便秘、しぶり)

肛門から陰部の付け根の領域を会陰部と呼びますが、この周辺の筋組織が萎縮し骨盤腔の脂肪や直腸、膀胱などが外に脱出する病気を会陰ヘルニアといいます。

中高齢の去勢していない雄犬に発症しやすく、症状はしぶり排便障害、排尿障害がみられます。肛門周囲が膨れ上がり、便が正常に出ないことに気づき来院されるケースが多くみられます。

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