犬の甲状腺機能低下症と皮膚病

写真のわんちゃんは8歳の柴犬の男の子です。1年以上前からアトピーによる難治性の皮膚病と診断され、他院を受診していましたが、中々治らないとの事で当院を受診されました。

 

初診時、背中には痂皮を伴う大きな脱毛と色素沈着がみられ、お腹側にも同様の皮膚病変がみられました(下図)。

お腹に認められる痂皮は細菌感染による典型的な皮膚病(膿皮症)でした。

 

膿皮症は犬で比較的多くみられる皮膚病ですが、治りにくい症例の場合、多剤耐性菌やアトピー、ホルモン異常、腫瘍などの基礎疾患が隠れていないか、全身的な精査を必要とします

 

このワンちゃんはご家族と相談し経済的負担も少なく効率的な検査を要望されたので、血液検査で分かる異常だけ、最初に検査しました。その結果、明らかな甲状腺ホルモンの低下が認められ、難治性膿皮症の原因と判断されたので、甲状腺ホルモンと抗生物質の投薬を行うことになりました。


治療経過

治療経過(腹部)

上の写真のように時間はかかりましたが、現在は毛艶も良くなり元気にしています!

 

このようにワンちゃんの皮膚病は基礎疾患が”悪さ”をしている事が多く、治りにくい場合は血液検査、ホルモン検査、画像検査など、全身的な精査を要する場合があります。しかし一方で、動物病院は自由診療で、検査に要する費用も馬鹿になりません。

 

『どこまで検査をするか、治療の目標をどこに設定するか、、、』

 

その判断には獣医師側とご家族とのコミュニケーションが一番大事だと考えています

長い道のりでしたが良く頑張りましたね!!


本人もご満悦☆