胆嚢は肝臓で生成された胆汁を貯留・濃縮し、十二指腸へ排出する働きをしています。
本来、胆汁は黄色くサラサラした消化液ですが、肝臓の異常やホルモン異常などが基礎疾患にあると胆汁がドロドロした胆泥となり、胆嚢粘膜が過形成を起こします。この結果、弾力性の強い粘液物質が過剰に貯まり、硬くなった状態を胆嚢粘液嚢腫といいます。
インスリンは血糖値をコントロールするために膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値が高いと放出され、低いと放出されなくなります。このβ細胞の腫瘍をインスリノーマと呼びます。
インスリノーマは中高齢のフェレットでは最も多い腫瘍とされ、当院でもよく遭遇する病気です。
「元気がない」「ケージにいる事が多い」「後ろ足が弱そう、ふらつく」「流涎(よだれ)」などが主な症状です。低血糖が重度になると痙攣や発作、昏睡状態に陥り、最悪の場合死に至ります。
中高齢で発症するため、低血糖によるこれらの症状を加齢によるものと勘違いしてしまい、発見が遅れる事があるので注意が必要です。
副腎は腎臓の近くにある小さな臓器で、生体内の恒常性を維持するために重要なホルモンをつくる役割をしています。
副腎は外側の皮質と内側の髄質に分かれ、それぞれホルモンを分泌しています。アジソン病とはこの副腎皮質の機能が低下し、ホルモンが不足することによって様々な症状が起きる内分泌疾患です。
典型的なアジソン病では副腎皮質全体が委縮しコルチゾールとアルドステロンの両方が不足します。コルチゾールのみが不足する非定型アジソン病も知られています。
アジソン病の一般的な原因として自己免疫性の破壊と遺伝性疾患が知られていますが、明確な病因はわかっていません。
慢性的な便秘・排便障害が続くことにより、結腸(大腸)の運動性が低下し持続的に拡張してしまった病態を巨大結腸症といいます。
症状は排便困難だけでなく、しぶりや血便、食欲不振、嘔吐などがあります。重度になると腸内で有害なガスが発生し、それが腸管から吸収されると全身状態が悪化していきます。
マラセチアとはカビの一種(真菌)で、健康な動物の皮膚や耳道などに常在しています。しかし、アレルギーなどが原因で皮膚に問題が生じるとマラセチアが異常に増殖して皮膚炎を起こすことがあります。また、マラセチア菌は『皮脂』を好むので、シーズーや柴犬など生まれつき皮脂の多い犬種で多くみられます。
また、湿度・温度の高い環境で増殖しやすいため梅雨~夏の時期にかけて発症が多くみられます。同じ理由から、身体の擦れやすかったり、ムレやすい場所(指の間、耳、首、わきの下、お腹や肛門まわりなど)で増えやすいです。
マラセチア菌へのアレルギー反応として皮膚炎が生じることもあると言われています。
血管肉腫は、血管内皮細胞に由来する腫瘍で、様々な臓器に発生します。最も脾臓に発生しやすく、次いで心臓、皮膚、肝臓などにも認められることがあります。進行速度が早く、転移率が非常に高いことで知られる悪性腫瘍です。
特に怖い点として、血液を豊富に含むため出血しやすく、腹腔内で大量出血してしまうと、ショック状態となり救急処置が必要になります。
リンパ腫とは、免疫細胞の一つであるリンパ球が腫瘍化する疾患です。リンパ節や胸腺などのリンパ系組織の他、鼻腔内、消化管、脳神経、皮膚など全身のどこにでも発生する可能性があります。
以前は猫白血病ウイルスに関連してリンパ系組織に発生するケースが多くみられましたが、近年では消化器型リンパ腫が増加しています。
今回は猫の消化器型リンパ腫の症状や診断、治療についてご紹介します。
寒い季節になると猫ちゃんは飲水量が減り、尿のトラブルが多くなります。頻尿や血尿を見かけたことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
特に、尿道が詰まり、尿が出にくくなる状態を尿道閉塞といいます。尿道閉塞が生じると頻尿や血尿だけでなく、尿がぽたぽた出る、排尿時に辛そうに鳴くなどの症状がみられ、さらに進行すると、尿が出なくなり急性腎不全によって死に至ることもあります。