歯科用レントゲン検査(歯周病、歯石、抜歯)

犬や猫の歯石や歯周病、口臭は飼い主さんを悩ませる病気の代表で、よく相談をお受けします。

動物の歯科治療は専門医がまだまだ少ない現状で、人の歯医者さんの技術には及びません。しかしながら、近年では動物用の歯科レントゲン装置も普及してきており、治療レベルの向上に貢献しています。今回当院でも歯科用レントゲン装置を新たに導入しましたので、これまでのレントゲン画像との比較や実際の症例をご紹介します。

 

通常のレントゲンと歯科用レントゲンの違い

左側の写真は通常のレントゲン装置により、頭部を撮影した画像です。通常のレントゲンは無麻酔で撮影ができる事や、全体像の評価が可能ですが、左右の歯が重なってしまう点や、歯根や顎の骨などの詳細な画像を得る事ができない点が問題でした。

一方、歯科用レントゲン装置を用いると右の写真のように細部まで観察することが可能で、これまで分かりにくかった歯の病気がより正確に診断できるようになります。


歯科用レントゲンで分かる異常

写真は歯石除去で来院されたわんちゃんです。歯科用レントゲンを撮影すると矢印の領域が黒く抜けており、第四前臼歯の歯根周囲に骨溶解が観察され、抜歯が必要と判断されます。

これまでは歯石除去の際に歯を抜くかどうか、主観的に判断する事しかできませんでしたが、このような画像をもとに治療を決定できるようになりました。

下の写真は参考までに正常犬の第四前臼歯と症例との比較です。歯根周囲が黒く抜けていることが分かります。

このわんちゃんは歯石除去と合わせて抜歯を行いました(下の写真)。

また、下の写真のように重症例になると歯槽骨がほとんど消失して、歯が浮いてしまう事もあります。特にミニチュアダックスや小型犬は歯周病が多くみられるため、ここまで進行する前に処置をすることをおすすめします。


歯科用レントゲン撮影方法


当院はポータブルタイプの装置を使用しています。センサーがX線を検出するとデジタル画像が撮影できます。写真のようにセンサーを口の中に入れて撮影する必要があるため、無麻酔での検査は非常に難しく、動物の歯科レントゲン検査には全身麻酔が必要です。


飼い主様へのアドバイス

一見キレイで、ぐらつきのない歯でもレントゲンを見ると実は隠れた歯周病があるかもしれません。悪い歯に気付かず放置すると歯周病の悪化につながる恐れがあります。

・歯石がついている

・口が臭い

・歯肉が赤い

・くしゃみが出る

このような症状がみられる子は歯周病になっているかもしれません。

歯石除去と合わせて、歯科用レントゲンを撮って隠れ歯周病の検査をしてみてはいかがでしょうか。