犬の心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全)

以前から心臓の雑音を指摘されていた13歳のシーズーの症例です。

いつも通り散歩していたところ突然失神したとのことで来院されました。

左の写真はその時の心臓超音波画像です。

全身状態を調べたところ、心臓発作による失神が疑われたので、心臓の精密検査を行いました。

左のレントゲン写真では心臓の軽度拡大が認められます。

心臓の超音波検査では、僧帽弁と三尖弁の2箇所で血液の逆流があることが分かりました。

最初の写真が僧帽弁閉鎖不全、左の写真が三尖弁閉鎖不全を示しています。


心臓の検査は主にレントゲン、超音波、心電図を用いますが、超音波検査は心臓の機能を計測するうえで非常に重要です。

左の写真は左心房から左心室に流入する血液の波形です。

細かく評価していくと、このワンちゃんは三尖弁での逆流が特にひどく、肺高血圧という状態も懸念され、お薬での治療を行っていくことになりました。

心臓弁膜症は中高齢犬で比較的よくみられる疾患ですが、手術はごく一部の病院でしか行われておらず、まだまだ課題は多いとされています。したがって、ほとんどのワンちゃん達はお薬による治療を行います。

心臓病の初期症状は「なんとなく動きが鈍い」「たまに咳をする」など注意していないと気づかない事も多く、中には突然悪化し命に関わることもあるので、「あれ?おかしいな」と思ったら早めの受診をお勧めします。