膿皮症による脱毛

症例は14歳のミニチュアダックスの男の子です。

数ヶ月前から皮膚の痒みと脱毛で悩まされており、初診時には写真のように脱毛が目立ち、所々に湿疹が認められました。


下腹部の皮膚には色素沈着があり、皮膚炎が慢性的であることが分かります。

皮膚の検査から、細菌性の皮膚炎(膿皮症)と診断し抗生物質の投与を行うことになりました。

写真は治療を開始し、35日後の様子です。

体全体に認められた湿疹は消失し、発毛もしっかりと認められるようになりました。痒みや臭いもなくなり、ワンちゃんもストレスから解放されたようでした。

 

また、下腹部の色素沈着もほぼ消失しました。

 

膿皮症は春から夏頃に多くみられる皮膚病で、通常はこの症例のように抗生物質で改善する疾患です。

しかし、長期間にわたり繰り返す症例もあり、そのような場合は膿皮症の原因となる基礎疾患(ホルモン異常や内臓疾患、腫瘍など)が隠れているケースもあり、血液検査など全身の健康チェックを行う必要があります。

このワンちゃんも高齢であったため、フィラリアの検査も兼ねて血液検査を行いましたが、幸い目立った基礎疾患はなく、このようにスムーズに皮膚病は改善しました。