フェレットの前立腺嚢胞

 症例はフェレットの男の子です。

尿が出ないとの症状で当院を受診されました。

写真のレントゲンでは下腹部に大きな構造物が確認できます(矢印)。

超音波検査では下腹部に前立腺周囲から形成される巨大な嚢胞が確認され、膀胱が圧迫されている事が分かりました。

このことから、本例は前立腺嚢胞による排尿障害と診断し手術をすることになりました。

この写真は開腹時のものです。

前立腺から大きな嚢胞が形成されていることが分かります。

そこで前立腺嚢胞の切除と縫縮術を行いました。

切除した嚢胞の病理組織像。

前立腺全体に不整な隆起がみられたため、腫瘍性変化の有無の確認のために検査を行いましたが、典型的な嚢胞であることが分かりました。

術後、翌日には排尿はスムーズになり。食欲・元気も回復してくれました。

この病気はフェレットの排尿障害の代表的なものの一つで、副腎由来の性ホルモン異常が関連していることが分かっています。特に、副腎が腫瘍化している症例では副腎の摘出術も同時に行う必要がありますが、今回の症例は左右とも副腎の明らかな腫瘍化は認められなかったため、嚢胞の切除術のみとなりました。

今後、症状が繰り返されるようならホルモンをコントロールする注射を行っていく予定です。